原子力発電所ってどんなタイプがあるの?
代表的なものは軽水炉,重水炉,ガス炉。
それ以外に黒鉛減速炉,高速炉等があるよ。
2023年7月18日現在、下表の通り、世界には437基の運転可能な原子炉があります。
タイプ | 略語 | 基数 |
軽水炉(加圧水型) | PWR | 307基 |
〃 (沸騰水型) | BWR | 60基 |
重水炉 | PHWR | 48基 |
ガス炉 | GCR | 9基 |
黒鉛炉 | LWGR | 11基 |
高速炉 | FNR | 2基 |
合 計 | 437基 |
圧倒的に軽水炉で、加圧水型だね。でも、なんでこれだけの種類に分かれるの?
核分裂反応を継続するために必要なのが、冷却材と減速材なんだ。
その冷却材,減速材により種類が分かれているんだよ。
冷却材とは:燃料から発生した熱を冷却する(外に運び出す)ための気体または液体。
水(軽水,重水),ガス(炭酸ガス,ヘリウム),液体ナトリウム など。
減速材とは:原子炉の中では中性子によって核分裂の連鎖反応が継続しているが、
ウランが核分裂しやすいスピードまで中性子の速度を落とす必要があり、
そのための物質。水(軽水,重水),黒鉛 など。
ただ、冷却材、減速材が,中性子をあまり吸収してしまうと,核分裂の連鎖反応が
止まってしまう恐れがあるので、あまり中性子を吸収しないものを選ぶ必要がある。
軽水炉とか重水炉,ガス炉って聞いたことあるけど
黒鉛炉と高速炉って何は?
黒鉛炉は黒鉛を減速材としている原子炉のことだね。
黒鉛炉の代表的なものがチェルノブイリ発電所だね。
高速炉は、減速材がいらない(中性子のスピードを落とす
必要がないもの)原子炉で,冷却材は液体ナトリウムだね。
燃料に天然ウラン(核分裂するウラン235が0.7%程度しか含まれていない)を使うか、
濃縮ウラン(ウラン235の濃度を高めたもの)を使うかが、
冷却材、減速材を選ぶ理由にもつながる。
天然ウランは、ウラン235の濃度が薄いため、軽水を減速材として使うと中性子の吸収が
多くて、核分裂連鎖反応を維持できない。
そのため、天然ウランの燃料の場合は、黒鉛や重水が減速材として選ばれる。
原子力の開発初期の段階では、ウランの濃縮技術が未熟であったため、
黒鉛炉や重水炉が多かったが、黒鉛は火災の原因になりやすいし,重水は作るのに
コストがかかるため、ウランの濃縮技術の進歩に伴い、軽水炉が増えてきたんだね。